腎臓治療の新たな選択肢

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慢性腎臓病の新たな選択肢:バレンジンついて



 慢性腎臓病は、腎機能の大半が失われた状態で、老廃物や余剰な水分が排出されないことで、生命リスクが高い病気です。

 ヒトでは、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患リスクが上がると言われています。  


 慢性腎臓病に伴って認められる合併症の中に貧血があります。

 猫では、慢性腎臓病の最大65%が非再生性貧血を呈していると言われています。 これはいわゆる「腎性貧血」というもので、本来腎臓から分泌されているエリスロポエチン(以下、EPO)の分泌が低下することが原因です。

 この腎性貧血、基本的にゆっくりと進行するため、目立った症状が出ないことも多々ありますが、「QOL低下」「生存期間の短縮」「慢性腎臓病自体の悪化」などの影響があります。(Lorbach SKら2025年)(Spencer Sら2021年)


 IRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)のガイドラインにおいても、貧血が認められた際の治療が提唱されています。  


 本来腎臓では、低酸素状態を完治すると、EPO産生細胞であるREP細胞内で低酸素誘導因子HIF-αとHIF-βが結合してEPO産生が促進されます。そのEPOが骨髄に働きかけて赤血球が産生されます。

 慢性腎臓病の場合、HIF-αが分解されてしまう事でEPOの産生が低下して、結果的に貧血となってしまいます。  


 今回紹介する新薬であるバレンジン(有効成分モリデュスタットナトリウム)は、HIF-αの分解を阻害することで、腎臓から分泌されるEPOを増加させ(正常に近づけ)て、赤血球の産生を促進するお薬です。


 海外では以前から使用されており一定の効果が得られていましたが、日本でもようやく認可がおりたので、使用できることになりました。  


   バレンジンは、フィッシュフレーバー付き経口懸濁液(液剤)で、比較的嗜好性も高いと言われています。以下に、内服の注意点をまとめてみました。


  ・食事の有無はどちらでも構わない

  ・体重によって投与量が変わるが、5kgの子で1本約1ヶ月分

  ・効果が出て、多血症になった場合は投与を中止する

  ・稀に嘔吐の副作用が出るかも

  ・血栓塞栓症、てんかんのある猫では使用注意

  ・リン吸着剤などのサプリメントと併用する場合は、1時間以上間隔を空ける


  完治しない慢性疾患の1つである慢性腎臓病は、闘病中の様子が普段となるべく変わらないことがとても大切だと考えています。


 これまでは、EPO製剤を直接投与することが、腎性貧血に対して治療でしたが、違った経路のアプローチが可能になります。


  今回ご紹介するバレンジンが、猫ちゃんたちと飼い主様にとって、穏やかな日常をサポートできる選択肢になれば、と思います。



  ただし、最も大切なのは早期発見とその対応です。 定期的な健康診断の受診をお勧めしており、末期でもう何もできない、ということを回避しましょう。


気になることがあれば、お気軽にご相談ください😊



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